図書館スタッフが読んだおすすめ本をご紹介します!
今回の担当者は、お花畑を探しているみつばちです。
今回紹介するのはこの一冊。
書名:『自転車に乗って』
著者名:伊藤 礼 ほか
出版者/出版年:河出書房新社/2020.12
ISBN:978-4-309-02935-1
請求記号:918.6
私は若い頃、ドロップハンドルに憧れて、はれて自転車部員へ。ということがありました。今となってはドロップハンドルの自転車は愛用しませんが、自転車は気になってしまいます。『自転車に乗って』は、タイトルはもちろんカバーのイラストが当時の愛車を思わせ懐かしく思わず手に取りました。
この本は明治の文豪から現代の人気作家やミュージシャンまで27人の自転車にまつわるエッセイ、物語、詩、漫画と多彩な短編作品が収められています。読んだことのない作家の方や作品と出会えたおもしろさもありました。
私が印象的だったのは、『ビワイチ』藤崎沙織・著と『自転車』志賀直哉・著です。藤崎さんのお話では、自転車で琵琶湖一周を走りながらさまざまなことが頭にうかぶ様子や、やりとげた達成感に感情移入しました。また、志賀直哉氏のお話では、自転車に夢中になった若い一時に、江の島や千葉へ自転車日帰りを常習する体力、曲乗りや走行中にレースを仕掛ける腕白さに驚き、買う約束をした自転車屋の他で欲しくなった自転車を購入した行いを後に真剣に悩み謝罪した出来事は道徳観がみえ興味深かったです。
この本のそれぞれに異なるお話から自分にはない経験や考え感じ方に触れ、読後には、新しい気づき、喜びや楽しみなど世界が広がるかもしれません。一編が短く、どこからでも読める気軽さもあります。
気になりましたら、春日部市立図書館に所蔵していますので、ぜひ読んでみてください。