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図書館の本棚から 第101回

2025年8月14日更新

図書館スタッフが読んだおすすめ本をご紹介します!
今回の担当者は、最近御朱印帳にはまりつつあるアナベルです。

 今回紹介するのはこの一冊。

 

書名:『サーカスの子』
著者名:稲泉連
出版者/出版年:講談社/2023.3
ISBN:978-4-065-30966-7
請求記号:779.5サ

非日常の世界を感じられるサーカスに憧れ子供の頃母にねだり連れて行ってもらったことがあります。

一番印象に残っているのが巨大な鉄の球体の中をバイクが疾走する演目です。鉄の球体の天井からバイクが落下してしまうのではないかとひやひやして一瞬も目を離すことができませんでした。

この本はノンフィクションで昭和40年、50年頃のキグレサーカスが舞台です。著者の稲泉さんは昭和54年生まれの母子家庭で母親は生活のためサーカス団で炊事の仕事をすることになりました。そのため稲泉さんは5歳から一年間サーカスのテント小屋で生活を送りました。稲泉さんたちのサーカス団は全国各地を転々としながらサーカス小屋の隣に仮設テントを設営して共同生活をしていました。

サーカスで暮らす子供たちの親の多くは空中ブランコや綱渡りをしたり、ピエロを演じたりするサーカスの芸人でした。およそ二か月間で次の興行場所に移動しなければならないためなかなか友達ができず、勉強についていくのも大変でした。学校にあまり居場所はありませんでしたが、サーカス関係者である親たちがどの子供も分け隔てなくわが子のように可愛がっていたため、子供たちにとってサーカスという場所はとても居心地の良い場所だったようです。

子供の頃の私をあんなにもわくわくどきどきさせてくれたキグレサーカスでしたが時代の流れとともについに終わりを迎えます。その舞台の裏で芸人たちの苦労や悲しみ、サーカスの子供たちの孤独があったことは間違いありません。昭和という時代に華々しく活躍していたサーカス団があったということをいつまでも記憶に残しておきたいと思いました。

 春日部市立図書館に所蔵していますので、ぜひ読んでみてください。
 

*本の詳細はこちらでご確認ください。(ページを移動します)