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図書館の本棚から 第91回

2025年3月13日更新

図書館スタッフが読んだおすすめ本をご紹介します!
今回の担当者は、ここに来ないといけなかったのは覚えているのに、何をしに来たのか思い出せないキノコです。

今回紹介するのはこの一冊!

書名:『ありえないほどうるさいオルゴール店』
著者名:瀧羽麻子
出版者/出版年:幻冬舎/2018.5
ISBN:978-4-344-03292-7
請求記号:913.6タキ

物語の舞台は北国の観光地。かつて海運で栄えた街の運河沿いに、異国情緒の漂う建物が並んでいます。
それぞれの人生の中で立ち止まっている人たちが、いつもは通り過ぎてしまう狭い路地の先にある、オルゴール店の存在にふと気づきます。

子どもの障害に自責の念を抱く母親、一緒に暮らしていた恋人が故郷に帰ってしまった彼、卒業を控え岐路に立つバンド仲間、わかり合えないまま父親を見送ることになった息子、自分を想う親の気持ちとのずれに苦悩する少女、半世紀連れ添った妻の病にうろたえる夫…。
彼ら、彼女らの心の中に流れる音楽を聴き取り、譜面に起こしてオルゴールに詰め込む不思議な店主。そんな彼への気持ちに自分でも気づいていない、お向かいさんの物語も紡がれます。

オルゴールが奏でる音楽に忘れかけていた記憶がよみがえり、再び時計が動き始めた人たち。
店主曰く「印象的な思い出の後ろで、鳴っている。反対に、その思い出を呼び起こすこともできる」。

音楽ばかりでなく、本にもそんな役割があるかもしれません。
私たち図書館員も図書館所蔵の資料を通して、皆様のお手伝いをさせていただきます。
タイトルがうろ覚えな懐かしい絵本、どこから手を付けたものかわからない調べものの本など、お探しの資料がありましたら、お気軽にスタッフにお尋ねください。

この小さなお店は、本書の最後で閉店してしまいます。しかし、遠く南の島に移転し、『もどかしいほど静かなオルゴール店』として、再び人びとに思い出の曲を届けます。
どちらも春日部市立図書館に所蔵していますので、ぜひ読んでみてください!

*本の詳細はこちらでご確認ください。(新しいタブで開きます)