「図書館の本棚から 第70回」
図書館スタッフが読んだおすすめ本をご紹介します!
今回の担当者は、ツルピカの貝に出会いたいヤドカリです。
今回紹介するのはこの一冊♪
書名:『海獣学者、クジラを解剖する』
著者名:田島 木綿子
出版者/出版年:山と渓谷社/2021.8
ISBN:978-4-635-06295-4
請求記号:489カ
さて、海獣ですが、辞書で"海の哺乳類"とありました。海の哺乳類と聞いて思い浮かべるのは、クジラやイルカでしょうか!?
私は、以前、NHK放送で『クジラ対シャチ』という、ドキュメンタリー映像をみました。シャチが群れで、子クジラを襲うのですが、命懸けで子を守る親クジラの姿、シャチ軍団の狩りの賢さに心が震えました。この攻防でクジラやシャチに感情や思考のようなものを見て関心を持ち、この本を手に取りました。
この本は、国立科学博物館で海の哺乳類を研究されている獣医師でもある先生が、海の哺乳類の調査・研究や、現場について、親しみやすい文で読みやすく書かれています。調査・研究とは例えば、海岸等に打ち上げられたクジラがあればかけつけて聴診、計測、原因究明の解剖調査し、標本化(はく製や骨を残す)する生活が綴られています。
驚かされたのは、解剖作業現場です。苦行ともいえそうな現場が、ユーモアを交えおもしろく語られています。海の哺乳類の生態や行動も多々知ることができます。特にコミュニケーションや思いやり行動が、哺乳類つながりである人間と近いものがあるのではと興味深かったです。この本を読めば、様々に哺乳類の見方が変わるかもしれません。
気になりましたら、春日部市立図書館に所蔵していますので、ぜひ読んでみてください♪
紹介した本のほか、続編ではないですが、2023年出版の同著者の『クジラの歌を聴け』も所蔵があります。哺乳類の繁殖についておもしろく書かれています。こちらも気になりましたら読んでみてはいかがでしょうか。
投稿日:2024年04月25日